シオノギ感染症研究振興財団_研究成果発表会2025_プログラム・抄録集
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― 27 ―公益財団法人シオノギ感染症研究振興財団 研究成果発表会2025 抄録 【【助助成成番番号号】】22002233NN003311 【演題名】抗菌ペプチド無細胞スクリーニング系の開発 【研究者氏名】寺坂 尚紘 【所属機関】東京科学大学未来社会創成研究院地球生命研究所 本研究では、抗菌ペプチドの迅速探索と機能向上を実現するために、抗菌ペプチドライブラリーの活性を数100マイクロリットルの小スケールで評価可能な無細胞スクリーニング系の構築を目指して研究を行った。 本研究では、図Aに示したような無細胞翻訳抗菌ペプチドスクリーニング系の構築を検討した。自己消光する異なる蛍光色素を封入した生体膜模倣large unilamellar vesicles (LUV)を調製し、無細胞翻訳系と混合して、マイクロ流路デバイスを用いて直径約25μmのwater-in-oilドロップレットに内包する。ドロップレット内で発現した抗菌ペプチドがLUVの膜を破壊すると蛍光色素の蛍光が増強されるので、抗菌ペプチドの活性および膜選択性を蛍光強度と色で評価し、マイクロ流路デバイスで望みの活性を持つドロップレットを選択するという実験系である。自己消光蛍光分子としてSulforhodamine分子を用いた所、抗菌ペプチドPepG1を発現した場合にのみ、赤色蛍光の回復が観察された(図B, C)。この結果はLUVがwater-in-oilドロップレット内で安定であり、抗菌ペプチドの膜破壊活性をドロップレットの蛍光強度で評価できることを示している。現在は上記のアッセイ系の多色化、スクリーニングに向けた抗菌ペプチド発現量の向上のための条件検討を行っている。 (A)無細胞抗菌ペプチドスクリーニングシステムの概要。(B, C)抗菌ペプチドPepG1による、自己消光蛍光分子を内包したLUVの膜破壊評価アッセイ。

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