公益財団法人シオノギ感染症研究振興財団 研究成果発表会2025 抄録 【【助助成成番番号号】】22002233NN001188 【演題名】肺Mycobacterium avium complex症におけるCavitary NB型とNon-cavitary NB型の血清サイトカイン比較検討 【研究者氏名】武田 啓太 【所属機関】国立病院機構東京病院 背背景景とと目目的的:: 非結核性抗酸菌(NTM)による肺疾患の中でもMycobacterium avium complex(MAC)は主要な原因菌であり、特に空洞形成を伴う病型は予後が不良である。本研究では空洞あり/なしの結節性気管支拡張型(NB型)肺MAC症における血清サイトカインプロファイルを比較し、空洞形成との関連を明らかにすることを目的とした。 方方法法:: 肺MAC患者58名(空洞あり13名、空洞なし45名)を対象とした。MAGPIXもしくはELISA法により34種類のサイトカインの血清値を測定し、2群間で比較した。 結結果果:: Cavitary NB群ではIL-8、IFN-γ、MMP-3、ST2/IL-33R、Chitinase-3-like 1値が有意に上昇していた。一方、Leptin/OBはCavitary NB群で有意に低下していた。他のサイトカインについては有意差はなかった。 考考察察:: 空洞病変のある肺MAC患者では、炎症性サイトカインや組織破壊に関連する因子が上昇しており、空洞形成にはこれらの免疫応答が関与している可能性が示唆された。特にIL-8やMMP-3の上昇は、好中球誘導による炎症および肺組織破壊との関連が考えられ、ST2/IL-33Rの増加はTh2型免疫の関与を示唆される。また、レプチンの低下は栄養状態や体脂肪との関連が示唆されるも、BMIでは群間差がなかったため、今後さらなる検討が必要である。 結結論論:: 本研究は、肺MAC患者の空洞形成と特定のサイトカインレベルの上昇/低下との関連を明らかした。更なる研究により、これらのサイトカインを標的とした治療法の開発や、空洞形成のバイオマーカーとしての活用が期待される。 ― 23 ―
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