公益財団法人シオノギ感染症研究振興財団 研究成果発表会2025 抄録 HOPER STUDYのフロー 【【助助成成番番号号】】22002233CC000033 【演題名】妊婦健診における子宮頸がん検診ツールとしてのヒトパピローマウイルス(HPV)検査の有用性評価に関する研究(HOPER STUDY) 【研究者氏名】宮城 悦子,*松永 梨沙 【所属機関】横浜市立大学産婦人科学教室 本邦では毎年約1万人が子宮頸がんに罹患し、その約4割を性成熟期の女性が占めるが、30-40歳代の子宮頸がん検診受診率は40%程度にとどまる。本邦では従来2年毎の細胞診が推奨されてきたが、2023年より5年毎のHPV検査が選択肢として加わった。HPV検査は細胞診同様にCIN (Cervical intraepithelial neoplasia)や子宮頸がんの早期発見に有効であり、検診間隔の延長により受診者と実施者双方の負担軽減が期待される。一方で、妊婦に対するHPV検診の有用性は未だ十分に検証されておらず、ほとんどの自治体では妊婦に細胞診を実施している。 本研究は、HPV検診の有用性を検討する多施設共同非ランダム化比較試験である。主要評価項目は妊娠初期に発見されるCIN2以上の真陽性者数で、細胞診検診を対照としたHPV検診の非劣性を検証する。登録症例数は5000例で、研究期間は3年を予定している。副次評価項目として、HPV検査陰性者の分娩後におけるHPV検査陽性率を評価し、検診間隔の延長が妥当かを検討する。また、HPV検査陽性者の分娩後に自己採取HPV検査と医師採取HPV検査を同時に行い、それぞれの検査における感度・特異度を評価する。 2024年9月から横浜市大附属病院で先行して登録を開始した。現在11施設が参加し、月間120例が登録されている。 13施設が倫理申手続き中で、最終的に30施設で月間360例の登録を予定している。本研究により、HPV検診が妊娠・育児中の子宮頸癌の罹患抑制を担保しながら、産後の受診の負担の軽減ができる根拠を創出する。さらに将来的な受診負担の軽減策として、自宅で可能な自己採取HPV検査の有用性を探索的に検証する。 ― 17 ―
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