シオノギ感染症研究振興財団_研究成果発表会2025_プログラム・抄録集
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NONONHcycloimidamicin AOHHONH2cycloimidamicin B公益財団法人シオノギ感染症研究振興財団 研究成果発表会2025 抄録 【【助助成成番番号号】】22002233FF001177 【演題名】新規作⽤機序によりリボソームの翻訳過程を阻害する抗グラム陰性菌薬リードの創製 【研究者氏名】*渡辺 匠,五十嵐 雅之,横山 武司 【所属機関】*(公財)微生物化学研究会微生物化学研究所,東北大学大学院生命科近年,既存の抗菌薬が効果を示さない薬剤耐性微生物の増加が公衆衛生上の大きな問題となっている.このまま何の対策も行わなければ2050年にはがんによる死者数を上回ると予測されており,新規の作用機序をもつ抗菌薬開発などの対策が急務となっている. リボソームは細菌に対する抗菌薬標的の一角を担っており,マクロライド系,アミノ配糖体系,オキサゾリジノン系など現在の化学療法における中心的な薬剤もリボソームの翻訳過程を阻害する.本研究開発課題では重要な創薬標的として広く認知されているリボソームに敢えて焦点を当て,前述の既存薬とは全く異なるメカニズムにより翻訳阻害活性を示す新たな抗菌化合物の探索・創製を目指す.研究の全体計画は1)微生物・生化学実験を用いた新規翻訳阻害様式を有する抗菌化合物の探索(五十嵐),2)クライオ電子顕微鏡を駆使したリボソームの新規翻訳阻害様式を有する抗菌化合物の構造機能解析(横山),3)cycloimidamicins(図)を中心に上記2に基づき設計したリード候補化合物の全合成および構造活性相関研究(渡辺)で構成される. 全合成研究については当初の合成計画から変更点はあるものの,制御される必要のある3か所の不斉中心のうち2箇所の絶対配置の制御に目途が立ち,現在は残り1箇所に関する検討に注力している. また,cycloimidamicinの作用機構を明らかにするためクライオ電子顕微鏡単粒子解析によるcycloimidamicin結合状態のリボソーム複合体の構造解析に取り組んだ.その結果,cycloimidamicin Aがリボソームによる翻訳過程を強固に停止している瞬間の高分解能立体構造の取得に成功した. 学研究科 OONHONNHONO OHNHNH2― 8 ―

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